【レビュー】小説家を見つけたら

7月 26th, 2006 by tsuyoshi Leave a reply »

「初稿はハートで書け。考えるな。考えるのは書き直すときだ。」と喝破する小説家がかっこいい。が、その小説家は大昔のトラウマを引きずっていて外出できない。バスケットボールでハイソな私立高校に引き抜かれた少年は文才があるのだけれど誰も信じてくれない。つまり、どっちも”フルタイムの自分”を生きることが出来ていない。 基本はこの二人の友情物語なので、はらはらしながらも安心してみていればいい。

なにが私の心を打つかといえば、こいつらの”いじけっぷり”だ。対人恐怖や自分を信じ切れない姿がどうにも自分と重なってくる。今日をやり過ごすだけでは明日はやってこないのだ - やってくるのは別の今日でそれは夢見ていた明日とは別のものだ、と判ってはいても今日を生き切り、明日を掴み取るのは難しい。 明日を掴み取っているつもりが今日をやり過ごすことに一生懸命になっていることもしばしばある。 例えば私の場合にはそれは新しいバリューをサービスや製品に持たせようとした挙句にトラディショナルな損益計算書の罠 - どこかのパラメータが過大で、望んだとおりの利益が出てこない/あるいは出すぎている - に嵌ったときに訪れる。 ビジネスモデルそのものを見直すべきなのに、機能を一生懸命見直してみていたりする。 そんなときには、良い友人が必要だ。 捻じ曲がった視点を横から直してくれなければ、いじけっぱなしで前に進めなくなってしまう。

自分の価値を信じること、友人を裏切らないこと、出来ることを一生懸命やること、といった奇麗事を信じきれない主人公たちがいじましい。そして、彼らが明日をつかんでいく大団円が美しい。

小説家を見つけたら

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