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読書な正月2

1月 3rd, 2008

孫子の兵法から戦争続きで「坂の上の雲」文庫版全8巻を一気読みした。

坂の上の雲
明治維新から日本という若い国家が「坂の上に見える雲を追いかけるように必死に背伸びする様子」を3人の伊予人の人生を通じて描く司馬遼太郎の代表作。

孫子兵法と続けて読むと、例えば彼我の機械的な能力差である戦艦の砲数、トン数の差がそれほど無かった日清戦争の黄海海戦においては兵の練度が勝敗を決定していること、彼我の戦力差が25万対37万と1.5倍ほどの不利にあった奉天会戦では陽動作戦や「旅順を落とした乃木将軍の軍隊」というプレッシャーが詭計となりロシア軍の判断ミスを誘っていることが印象深く読み取れる。映画にもなっている203高地の戦闘では「我が全力をもって敵の分力を討つ」、つまり戦力の複合的な集中運用によって敵の弱いところを取ることのメリットがよくわかる。

またマクロな視点で見ると満州および朝鮮半島そのものが列強がプレゼンスを競い合う「衢地」となっており、孫子によれが「交を合す」、つまり外交によって自らに有利な状況を作るべき戦場であった。国力のなかった日本としては最終的に英国、ドイツ、アメリカなどの仲介によって講和を結んでいる。

さらにこの戦争の上部構造として司馬遼太郎は「帝国主義の時代」を指摘する。喰う側か、喰われる側かというわけだ。坂の上の雲を見上げていた日本としてはやはり「喰う側」になる、つまり「植民地を持って経済運営を行い、覇権国家となる」のが戦略目標でそれこそが「坂の上の雲」だった。

ところで…
現在の「完全競争資本主義」とも言える流動性の高い資本市場では「買う側か、買われる側か」という新たな帝国主義がある様に思う。80年代には買う側であった日本も近年では買われる側にまわっている。ただし買われる側とは産業リソースであるということを意味するが、少子化はそうであることに決定的な不利となる。
となれば効果的な財の蓄積を持って「買う側」にまわることが国家の目標となるべきであり、短期的に実現されなければ日本の価値は加速度的に下がっていくことになるだろう。

少し話題が飛躍しすぎた。

関連性を確認しつつ読めるということは、孫子の時代から日露戦争までの戦術原理には差がない、ということだろう。
ならば、現在のビジネス競争との関連はどうだろうか?

引き続き、考えていく。

読書な正月

1月 3rd, 2008

昨年末に引いた風邪だが、いまだに咳と鼻水が出る。ひょっとすると何かアレルギーかもしれない。出かける元気もないのでコタツにもぐって本を読んでいる。

曹操注解 孫子の兵法
 ソフトバンクの社長さんも読んだという孫子の兵法に三国志では敵役になっている曹操がコメントを入れた版の現代語訳。三国志の時代は学歴社会かつ官僚主義社会で「科挙」という試験に受かるか、宦官になるか、武芸に秀でるかしないと出世できなかった。曹操はそのような旧弊にとらわれることなく適材を適所に配置した。地元のやくざの親分を将軍に取り立て、それまで非公式だった支配体系を公式化し、かつやくざの親分が法律家や警察権力を使えるようにすることでより効果的で透明性の高い行治が実現できるかたちに整えたり、といったことをしているのだ。閉塞した専門バカや官僚主義者をそのまま登用していたのでは、旧秩序を引き写しにするだけで自分のリーダーシップを確立できないと考えたのだろう。
 ただし「これまでのルール」をぶち壊すのであれば「新しいルール」が必要になる。100人程度でやっているベンチャー組織ならなんとか調整で乗りきれるかもしれないが、数万人を動員する戦争をやるとなればそうもいかない。統一した行動規範が必要だ。現在の軍隊でも「歩兵操典」とか行動規範がある。曹操は操典として新しいものを書き上げることはせず孫子の兵法に自らがコメントを入れて皆に配った。
 内容は戦略というよりも戦術、つまり戦略を達成する方法に重点が置かれている。何を取るか、ではなくどうやって取るかが書かれている。読んでいくとその原理は2点に集約できる気がする。

  1. 敵の情報をなるべく集める
  2. 敵を打ち破るのに十分な数の戦力を用意する

以上、である。「囲地にあってはすなわち詭計を用いよ」とかも上記原則に乗っ取って理解できる。囲まれちゃったかどうかは常にアンテナを張っていないと把握できないし、囲まれちゃうってことは敵の方が数が多いわけだから、なにかのトリックを使って彼我の戦力差が彼より我の方が多くなるようにしなきゃ突破できないよ、ということだ。これはランチェスターの弱者の戦略にも通じる。強者と全面戦争など考えず、ニッチを攻めろと彼は言う。さらには小笠原水軍の秘伝書にも「我が全力をもって敵の分力を討つ」というのがあるらしい。なるほど、戦というモノは古来変わらないものらしい。

翻ってこれをビジネスに応用するとどうなるか、を休みの残りをつかってすこし考えてみようと思っている。
例えば…

  • 戦争は領土を奪い合うという点でゼロサムゲームだが、ビジネスはどうか
  • 戦争では敵の線力を破壊できるが、ビジネスではそれはどのようにおこなうのか
  • 情報化、リソースの共用が加速度的に進む中でどのように決定的な戦力差を準備すれば良いのか
  • そもそもビジネスにおける戦力とは何か? コトラーの4Pで良いのか?

なにかしらオープンにできるような着想がまとまれば、また別のエントリにしたい。