昨年末に引いた風邪だが、いまだに咳と鼻水が出る。ひょっとすると何かアレルギーかもしれない。出かける元気もないのでコタツにもぐって本を読んでいる。
曹操注解 孫子の兵法
ソフトバンクの社長さんも読んだという孫子の兵法に三国志では敵役になっている曹操がコメントを入れた版の現代語訳。三国志の時代は学歴社会かつ官僚主義社会で「科挙」という試験に受かるか、宦官になるか、武芸に秀でるかしないと出世できなかった。曹操はそのような旧弊にとらわれることなく適材を適所に配置した。地元のやくざの親分を将軍に取り立て、それまで非公式だった支配体系を公式化し、かつやくざの親分が法律家や警察権力を使えるようにすることでより効果的で透明性の高い行治が実現できるかたちに整えたり、といったことをしているのだ。閉塞した専門バカや官僚主義者をそのまま登用していたのでは、旧秩序を引き写しにするだけで自分のリーダーシップを確立できないと考えたのだろう。
ただし「これまでのルール」をぶち壊すのであれば「新しいルール」が必要になる。100人程度でやっているベンチャー組織ならなんとか調整で乗りきれるかもしれないが、数万人を動員する戦争をやるとなればそうもいかない。統一した行動規範が必要だ。現在の軍隊でも「歩兵操典」とか行動規範がある。曹操は操典として新しいものを書き上げることはせず孫子の兵法に自らがコメントを入れて皆に配った。
内容は戦略というよりも戦術、つまり戦略を達成する方法に重点が置かれている。何を取るか、ではなくどうやって取るかが書かれている。読んでいくとその原理は2点に集約できる気がする。
- 敵の情報をなるべく集める
- 敵を打ち破るのに十分な数の戦力を用意する
以上、である。「囲地にあってはすなわち詭計を用いよ」とかも上記原則に乗っ取って理解できる。囲まれちゃったかどうかは常にアンテナを張っていないと把握できないし、囲まれちゃうってことは敵の方が数が多いわけだから、なにかのトリックを使って彼我の戦力差が彼より我の方が多くなるようにしなきゃ突破できないよ、ということだ。これはランチェスターの弱者の戦略にも通じる。強者と全面戦争など考えず、ニッチを攻めろと彼は言う。さらには小笠原水軍の秘伝書にも「我が全力をもって敵の分力を討つ」というのがあるらしい。なるほど、戦というモノは古来変わらないものらしい。
翻ってこれをビジネスに応用するとどうなるか、を休みの残りをつかってすこし考えてみようと思っている。
例えば…
- 戦争は領土を奪い合うという点でゼロサムゲームだが、ビジネスはどうか
- 戦争では敵の線力を破壊できるが、ビジネスではそれはどのようにおこなうのか
- 情報化、リソースの共用が加速度的に進む中でどのように決定的な戦力差を準備すれば良いのか
- そもそもビジネスにおける戦力とは何か? コトラーの4Pで良いのか?
なにかしらオープンにできるような着想がまとまれば、また別のエントリにしたい。