さてさて、めずらしくポリティクスネタである。友人からの投げかけへの回答でもある。
ネタはチベットだ。
チベットでの騒動がちょうど聖火リレーと重なったこともあって、FREE TIBETと叫ぶ人も増えている。
で、まずは僕の立ち位置はどこかというのをはっきりさせておくと、福田総理とまったく同じで「中国の国内問題なので、中国が対応するべき問題」だと思っている。ただ、もう少し詳しくチベットの政治・経済的問題についての僕の所感を書いておく。
チベットの資源
チベットには実はウラン、ダイアモンド、レアメタルなどの地下資源が豊富にある。またエベレストからの雪解け水という水資源もたっぷりある。さらに中国の核実験場や放射性廃棄物廃棄場なども設置されている。
したがって、現時点でチベットにある産業は鉱物と軍隊だといえる。
この地域に核実験場をもって来ているのは明らかにその昔領土を巡って戦争した事のあるインドに対するデモンストレーションだ。同時に大量の軍隊をここに集積することで地下資源権益の確保と同時にインドに対する軍事的緩衝帯としている。こうしたハードな軍産複合体制は中国共産党のお家芸だ。特に、中国が関与する前のチベットは僧侶>>>>>>>一般人民というハイパーカースト制度であったので、民間メインで進めていく通商でのソフトコミットよりも、ガチな軍産複合体制でがんじがらめにハードコミットするのがベストシナリオだったわけだ。
交渉しようにも相手が「唯我独尊」じゃぁ交渉にもならんのでパワーで押す、ということですね。
ただ、そんなこんなでも資源&領土&主権保持が国家維持の本分である以上、中国はチベットを切り離すわけにはいかない。「最大の貿易相手」がそんなに不安定では日本も困る。
インド側としては亡命政府を保護していることが、中国から資源をソフト/ハードコミットするカードになっている。
まかり間違って亡命政府の主権が認められれば、大手をふって資源開発をスポンサードすれば良いし、現状維持ならば亡命政府を飼い殺しにしていることで中国に恩を売れる。ただし、お互い核保有国である以上ミリタリーパワーでの力づくは安全保障理事会ネタになって国民がますます飢えてしまうので現実解としては「飼い殺しで恩を売る」路線だろう。
資料出せ、とか言わないでね。観測だから。
で、チベットは自立できるのか?
前項で触れた、「資源」、「主権/国体維持」&「核保有国同士のバトルになっちゃう」点から、まずチベットは独立する事自体に大きな火種を孕んでいるといえる。それでもあえて自立できる可能性を考えてみると…中国との交渉、ことによっては戦争に大きな資本がまず、必要だ。独立後の不安定な政治状況を嫌っておそらく一斉に引き上げるであろう中国&その他外国資本の穴を埋めて、資源開発なりをしてチベットの国民を食わせなきゃいけない。
おそらくはものすごいリスクマネーになるだろう。リスクマネーに対するハイリターンを保証するために、中国コミット以前のハイパー劣悪労働環境が出現するかもしれない。ただし今度は僧侶とかの支配層(が復活するとして、ね)もリスマネーの奴隷だ。
じゃあ、チベットはこのままで良いのかよ?
冒頭で述べたように、僕はこれは中国の国内問題だと思っている。だからチベット人を含む中国人が解決するべき問題だ。
ただ…地球上でのCivilization の”ムラ”というのは、商業国家である日本とその親分であるアメリカ合衆国にとっては結構なリスク要因だ。価値観、商習慣、言語などの文化面で地球がフラットになると…わかりやすく言うならば「どこでもコカコーラが売れる」状態になって、商売がうまくいく。インターネットや携帯電話の普及はこの動きを大幅に加速している。
もっとわかりやすく言い換えると、僕が幸せに生活をしていくためには日本/アメリカ的価値観を持っている地域がなるべく多く地球上にあった方がよろしい。したがって、チベットがこのままであるのは非常に都合が悪い。
では何をするかというと…ここまで複雑な政治問題を政治の観点から解決するのは、実はとっても効率が悪いと僕は思っている。その世界のルールで今までやってきていて、うまく行っていないのだからパラダイムシフトがなければソフトランディグできるスキームは見つかるわけが無い。
その意味では「地球のフラット化」を進めることが素敵だ。ベルリンの壁が崩れたときのように、自然とその問題そのものの立脚点が瓦解していくのが理想だ。となると…僕にできるのはモバイルテクノロジーを一層普及させて、Pia-to-Piaなコミュニケーションが世界規模で成立するのを早めることだ。
このまま仕事がんばるからねーという結論で申し訳無い。
が、この問題の解決も含めて - 僕は民主主義国家の国民なので - 国政選挙の投票でポリシーを選択し、税金で資金を供給している。ぜひ公務員の皆さんには気合をいれて仕事していただきたい。また選挙権を持っている人たちは、より実際的な論点で投票行動を行ってほしいもんだ。
デモしている人たち/便乗している人たちへ
Free Tibet!!と叫ぶ人たちには、それが何からの解放でなにを代償にするのかをもっと具体的に論じてほしい。そうでなければその意思表示はイデオロギー論争であって、価値観の押し付けでしかない。
そこにある事実が「許しがたい」のはあなた方の価値観にすぎない。例えば僕にとっては主権国家の内政問題に対して口を挟むのは「許しがたい」ものだ。誰かが「アイヌを解放するべきだ!!北海道を彼らに返せ!!」とか言ったら「ふざけんなよ こらぁ!」って言うだろうしね。
例えば…民族自治は共産主義を拡散させるためのスローガンだったりしたことを思い出してみてはどうだろうか。
例えば…日本も琉球民族、縄文人、アイヌ、韓国人、中国人の累々たる涙の上に成り立っていることを思い出してみたらどうだろうか。
例えば…依然としてアメリカには人種差別があってその国が他国の主権を資源故に奪ったことを思い出してみてはどうだろうか。
例えば…チベット仏教は「生まれ変わり」で指導者を決めてしまうカルトだということを思い出してみてはどうだろうか。
で、改めてチベットは何から解放されるべきなのか、考えて見てほしい。
僕は「ダライ・ラマ/チベット仏教という過去」と「経済的隷属」からは解放されるべきだが、中国の主権から外れることはチベット民族全体の幸福にはつながらないと思う。どうせなら「チベット地域開発ファンド」とか集めて、チベット民族に経済的パワーをつけてあげた方がデモするよりもよっぽど効率が良いと思うんだけどな。