空港へ着陸する飛行機の中からベトナムを見下ろすと、道にアリがたくさん走っている。
もちろんこれらはアリなどではなくて大量の「ホンダ」、小排気量のバイク - いわゆるスーパーカブである。
バンコクでのバイクもなかなかにすごい数だと思ったけれど、ベトナムではさらにすごい。
走っているバイクのほとんどは燃費のよいホンダのスーパーカブ、またはカブのカウルをモダンにした一見スクーターに見えるもの。

で、こいつらが信号の無い交差点ですれ違っていく。

そうなのだ。ホーチミンでは、少なくとも僕がうろついた範囲では信号らしい信号が無い。さすがに3車線道路ぐらいになるとそれらしきものはあるのだが、他は基本的に、ない。
じゃぁどうやって交通が統制されているかといえば、「自己責任」である。思い出したように歩行者用の信号が設置されている交差点も有るには有るが、交差点近くの電柱にひっそりとつけられていて、そこに信号があることを知らなければまず気がつかない。信号その物の形も統一されておらず、認識するのに難易度が非常に高い。
ということで、大量のバイク、車、人が道をてんでばらばらに行き交うことになる。通りを渡ろうと思ったらまず流れを読み「あそこの切れ目で渡ろう」とホーチミン初心者の僕などは考えてしまうが、ホーチミン上級のローカルな方達はまず、渡り始めてしまう。きちんと左右を確認しなきゃあぶねぇじゃねーか、と思うが走っている車やバイクの方も「そんなもんだ」と思っているらしく、上手に避けて走っていく。
ここでは変に道の真ん中でビビって立ち止まったり、動きのスピードを変えることの方が危険な様だ。みな、落ち着き払って道を渡っていく。
ここまでなら「へぇ、上手くできているもんだねぇ」レベルだが、ホーチミン・ローカルの方々はさらにすごい。バイクで、同じ事をするのだ。
道幅10mはあろうかという大きめの通りの横断もお構い無しにつっこむ。バイクと車の塊が来ているとこへ、別のバイクと車の塊が90度横からぶつかっていき、だれも死なずにすれ違うのだ。すごいとも思うが、やはり事故も多いと奥さんが行ったヘアエステのおねぇチャンが言っていたそうだ。
ランドマーク達
バイクに圧倒され続けていたわけではなく、いくつか名所めぐり。これらは徒歩15分圏以内にあり、半日あれば全部を見て回れる。

人民委員会庁舎。フレンチコロニアル調でとても美しい。

聖マリア大聖堂。ちょうど結婚式を上げているカップルがいた。

中央郵便局。

中央郵便局のなか。FedexとかDHLの専用カウンターもあった。
フォー24
ベトナムうどん、フォーが一杯24000ドン(150円ぐらい)で食べられるということだったが、インフレのためか32000ドンになっていた。
で、これが文句無く美味い。
食い物はその土地のものが美味いのは当たり前だ。たとえどのような店であっても、その土地にあり、その土地で営業をしているというだけで、他の土地に比べて圧倒的なアドバンテージが有る。例えばデュッセルドルフの蕎麦屋は巣鴨駅前の富士そばに遠く及ばない。ましてや、同じく巣鴨駅前の武蔵屋レベルのそばなど海外では望むべくもない。
と言うわけで、土地の滋味と年季を一杯に詰め込んだフォーのまずかろうわけが無い。スープ、麺、具材、付いてくる大量の香草すべてが予定調和の中に溶け込み、生物の進化があらかじめ定められていたかのような完成度を誇るのにて圧倒的なそつのなさである。豪華でも、技術が高いわけでも、着想が素晴らしいわけでも無い。ただただ、圧倒的に完成された破綻のなさなのだ。すべてがこうあるべし、という姿のままそこにある。本来はハノイの料理だということだから、ハノイで食ったら涙を流してしまうかも知れ無い。



海外出張から帰ってきたときに、富士そばへ駆け込んでもりを掻き込むことがある。おそらくはベトナムの方もそのようにフォーを喰らうのであろう。
ピンチ!
ランドマークをまわり、フォーを食い、ホテルのプールで少し遊んでからレストランへ出かけたのだが…。
そこで僕は急にお腹が痛くなってしまい、せっかくの「フエの宮廷料理」とやらを楽しめなかった。
レストランを早々に引き上げ、ホテルに戻ってからしばらくは「トイレとお友達」状態になり「むむ!!コレラかも!!」とヒヤリとしたが、一通り出るものが出てしまえば落ち着いた。生水や生魚は避け、食事時の手洗いなども欠かさなかっただけに少し驚いたが、どうやらミネラルウォーターそのものが僕に合わなかったか、昼に食ったフォーについていた香草で腸がビックリしたかのようだ。一晩寝て、次の朝にはケロリと直っていた。