煮詰まっている。
昨年転職していらい担当している事業は黒字ベースに載せた。が、ものすごくビジネスのサイズが小さい。じゃぁどうやってサイズを広げていくかをここ数日考えているわけだが、どうもいいアイデアが浮かんでこない。黒字になったのであれば活動量を上げ、キャッシュの回転数を上げて利益バンバンだしゃいーじゃねーかというのが正論だ。うまく行ったのは「皆さんのコストを引き下げます。リソース調達を経費化できます」という「Everyday Low Price」なプロモーションを徹底したからなのだが、会社上層部はそういう商売は嫌いでもっと「ノウハウや知識を(高値で)売ってほしい」らしい。とはいえうまく行っている以上、この戦略を放棄するなんていうのはナンセンスだ。というわけで煮詰まっている。ノウハウが高値で売れる時代が終わったから、SaaSとかいってんじゃねーのかよと愚痴も言ってみたりする。
まぁそんな阿呆な状況なので、自身内部での整理/納得を作る意味も含めてマーケティングの機能論をポストしておく。
マーケティングは金床である
敬愛するフィリップ・コトラー先生いわく「マーケティングとは顧客志向の視点から製品、価格、商流、プロモーションを設計すること」なわけだが、この定義そのままでは製品開発部、営業部、宣伝部各位から「それは俺の仕事だ」と怒られる。なぜなら、マーケターはこれらの仕事を直接やるわけではなく、あくまでも設計を行うことがミッションだからだ。
かくしてマーケターは「人の仕事に指図をくれるハンパなシロート」または「能書き垂れる口の達者な責任投げ渡しヤロー」として嫌われるわけだ。
が、マーケターはマーケットのニーズを拾い上げ、営業を含めたPOS(Point Of Sales)に誘導し、顧客を獲得する一連の流れのグランドピクチャーを準備しているのだ。
マーケティングが準備するグランドピクチャーは金床のように働くと思えばよいかもしれない。適切な場所に、適切な大きさでおかれた”面”である金床に対して、営業/販売店といったハンマーが”点”でお客様をとらえ、関係を開始するイメージだ。ハンマーによるインパクトが充分に働くためには金床が充分な強度をもっていなければ、ハンマーによるインパクトが逃げてしまい、ターゲットを捕らえられない。逆に、金床が充分な大きさと強度を持っているのならばハンマーはそれほど大きなものを使わずとも、小さなインパクトを多量に行うことでより効率的にターゲットを捕らえられるかもしれない。
この”面”なり”金床”なりはプロモーションだけで構築されるわけではない。プロモーションなりブランディングなりで成立するのは顧客の心的側面であり、受注にはつながるが利益にはならない。利益は納品による債権/債務の発生から生まれるので、実際に財やサービスを供給する能力を同時に準備しておかなければPOSでいかに受注を積み上げたとしても利益にはならない。マーケティングが製品や価格にまで口をだすのは、利益を確実に生み出すようにするためだ。
営業とマーケティング
金床とハンマーというたとえをしたように、営業(もしくは販売)とマーケティングはそもそもの機能がまったく違う。営業なり、販売なりは実際に目の前に居る顧客のニーズを点で汲み取り、満たすことが重要であり、ミッションなのだ。利益を生み出すグランドピクチャーを用意するマーケティングの仕事とはまったく違う。ただ、この両者が強調していなければ、ハンマーを振り下ろしてもそこには金床がないとか、ものすごく小さいハンマーに対して巨大な金床を用意してしまったりとか、その逆とかといった「何でそんなことがあるの?」的現象が非常に簡単に発生する。
SIerにおいて、マーケティングではなくプリセールスやコンサルタントが重用されるのにはここに理由がある。
SIerは基本的にワンオフでシステムを作る。目の前の顧客ニーズを満たすためにシステムを作る。従って、金床のサイズは最小-1社のニーズをまかなうサイズでよいし、ハンマーのサイズ、数も同様である。また、金床も顧客ごとに違っている必要がある。なぜなら顧客ごとにニーズが違うからだ。
このような状況の中では、これは既に金床と呼ぶのに適切なサイズではない。ハンマーが2本あるようなものだ。
かくして、SIerではマーケターではなくプリセールスが顧客に対して供給する財・サービスの設計を行うことになる。
もしSIerでマーケターの役割を求めるならばプロモーション、しかもマーケティングコミュニケーションだけがそれだろう。
SaaS時代のシステム屋におけるマーケティング
SaaSでは点のニーズを面でカバーすることになる。まぁ実際にはカバーしきれないお客も居るのでカスタマイズとかAPI公開とかになるのだけれど、基本的なアーキテクチャはみなで共有することになる。
先に見たようにSIerではマーケティングは成立せず、プリセールスが代替することになるがSaaSではもう少し複雑だ。
標準的なサービスでカバーできてしまう顧客に対しては、マスプロ商材と同じようにプリセールスではなくマーケティングによる囲い込みが有効になる。こうして囲い込んだ顧客の中からさらにカスタマイズへアップセルしていくなど顧客の啓蒙/啓発も有効だ。これらを有効に機能させていくためには、SaaSが提供する価値とはなにか、といった「価値観」そのものの標準化 - 文化の育成といってもいい - が必要になる。そしてそれこそが利益を生み出すためのグランドピクチャーになる。
ん~。ブログに書く話じゃねーな。このへんにしとこう。
ブログに書く話じゃないところにコメントして良いのか迷ったんですが…
私も同じようなところでもやもやしていたので、このエントリはストライクでした。
営業でもコンサルでもマーケでもエンジニアでも、みんなの共通認識があって
その上でSaaSをやってかんと、どうしても戦略としてもろくなってしまう。
一般の商品企画に比べて、アーキテクトなりエンジニアが盛り上がってて
どうも全体で足並みそろっていない手法にしかなってなかったりするのかも。
ホントは利益を生み出すSaaS文化を醸成しなくちゃならないんですよね。
これからも参考にさせてもらいますね〜
dTさま
コメントをありがとうございました。
SaaSの場合には商品単価が小さいので、これまでのSier組織のままでは営業がうまく動かないと言う点で、ドラスティックな意識改革や方法改革が必要になっていくわけですが、どうしてもみな過去の成功体験を捨てきれなかったりして試行錯誤状態になってみたりします…いや、いかん。だからブログに書く話じゃなくて企画書に書く話なんですよ。なんだったら書きますよ。御社の。企画書。
>これからも参考にさせてもらいますね
旅行の話とか奥さん語録とか犬の話とか朝飯のホットケーキの話とかの合間にマーケティングの話をお楽しみいただければ幸いでございます。
ぜひぜひ、ご贔屓にしていただければ。