凍 沢木耕太郎/山野井夫妻

11月 1st, 2008 by tsuyoshi Leave a reply »

沢木耕太郎はいわずと知れた「深夜特急」を書いた人。
不勉強で知らなかったのだが、山野井夫妻は山を登る人たちにとってはおそらく私にとってのジャコパストリアスぐらいの天才/変人ぐあいなのだろう尖ったクライマーである。
本書は山野井夫妻が2002年にヒマラヤのギャチュンカンというところへ登りに行って、死にかけて帰ってきた事実のルポルタージュである。

なにがすごいって、死にかけて凍傷で指なくしてるのにそれでもまた山に登りに行くこの夫妻のキチガイっぷりがすさまじい。ストーリーを追いかけているときには高所障害、急な斜面、雪崩、凍傷といったリスクやハンデを乗り越えて生還するお二人の姿に興奮し、感動するのだが、いざ本を閉じてネットで調べてみるとお二人はその後も山に登り続けている。しかも、半端じゃねーのだ。

指をなくす前には、こんなところに登っていらっしゃる。まず、この時点ですさまじく頭が悪い。
登坂ルート
山野井通信より。

指をなくしてからはこんなところである。
登坂その2

お怪我をされるまえの「なるべくロープ酸素などを使わない」アルパインスタイル(というらしい)ではさすがにないようだが、こんな場所は - 比べる方がまず間違っていはいるのだがロープ酸素があっても僕には無理だ。

山野井さん自身も「登る」ことの意味を振り返ったりはしているのだが、まずもって何よりも登ること自体の危険や達成感が彼を、そして夫人を突き動かしている。そうした純粋な意志を沢木耕太郎の的確に事実を写し取る文章が場面毎に力強く、しなやかに取り出して見せる。
一歩引いてみれば、そうした純粋さは気が狂っているとも思える。が、山野井夫妻の欠けた指とお二人が撮ってきた写真、そして沢木氏の文章を見ていくと純粋な意志に対して純粋な興奮と尊敬を返さずにいられない。

まるで小学生のように。

すげーよ、おまえら。そんなところそんな風に登れるなんて。

–追記
「アルパインスタイル」でもロープは使うようです。クイックに、一気に上ってしまうのがアルパインスタイルのようです。
門外漢のため、失礼。

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