この週末に読んだドキュメンタリー2冊のレビュー。
敗れざる者たち – 沢木耕太郎
「深夜特急」を書いた作者が、まだ若い時期のドキュメンタリー数点を集めたもの。
高度成長期の日本で「黒人とのハーフで煮えきらないボクサー」や「長島との対比で語られる巨人のサード達」の姿を素描したもの、と思いきや。
語られるのは「沢木自身の哲学」の枠組みのなかで、素材たちがどのように”順位付けられるか”だった。
若いということはいくつかの利点と不利があるが、世の中に一般的な価値観が存在すると思い込んでいることは大きな不利益だ。そうした若さを、日本自身が持っていた時代の空気を感じ取るにはよいテキストだが、例えば先日レビューした「凍」が素材の描写に徹してなおかつドラマを描いていたのに比べると、若書きが鼻につく。
筆力で読ませるが、人間を掘り下げたドキュメンタリーとしてよりも昭和の若者の感性を味わうのに良い一冊。
だから山谷はやめられねぇ – 塚田努
逆に自身を状況の中へ没入させることによって、日記その物が素材の描写になっている本書は若書きがドラマの一部になっていて気にならない。リアルな「山谷のどうしようもないおっさん」や「飯場の非熟練工」がたくましく、かつだらしなく生きていくさまを塚田の目を通して切実に理解できる。
だからどうだ、という価値観ではなく人間はたくましい生き物なのだ、という事実を噛み締めて読了できる。文中でたびたび触れる優柔不断さとは裏腹な、塚田自身のたくましさも含めて。








